2016年2月4日木曜日

糀を育てながら思う事②


~情報がリアルタイムに細かくわかることによって・・・
糀の温度を測るのに最初は普通の温度計を使っていましたが、温度管理している室をいちいち開いてみなければならなかったので、デジタルの温度計を買いました。温度センサーはコードの先についているので、室を空けることなく、しかも0.1度刻みで計測してくれる優れものです。これが1000円ちょっとで買えるのですから、お手軽です。これで室の中の温度はもちろん、室の中の袋に入っている糀の温度までリアルタイムでわかるので、作業のタイミングの判断がやりやすくなります。
一見いいことずくめのようですが、これが意外にそうではないこともありました。
①いつでも温度を把握できるので、神経質になってしまう
例えば、室を空けて作業をして、作業が終わり、室を閉めます。すると外気の温度が流れ込んできているので当然しばらくは温度が下がっていきます。本当は上がらないといけないのに・・・。ちゃんと温度が上がっていくか心配になって、温度が下げ止まるまで見届けなくては気持ちが収まりません。温度計の表示をじっと見つめてしまう時間が増えてしまいました。
こちらの意図と違う温度変化までわかってしまうので、そういう情報をキャッチすると不安になってしまうのです。
②わかった気になる
糀を育てるには、温度や時間だけでなく、香りや味、色なども手入れ作業をするタイミングの判断材料になります。でも温度の変化を詳細に、しかもリアルタイムで知ることができてしまうことによって、その情報だけで糀の状態を「わかった」気になってしまいがちです。
①も②も経験を積んでいくと、デジタル温度計の数字だけで一喜一憂するようなこともなくなっていくと思います。
何しろ糀は3日でできあがるので、短時間のうちに経験を積むことができます。実際、私も少しは糀の気持ちがわかるようになってきて上に書いたようなことはなくなってきつつあります。
話は変わりますが、この話って子育ての悩みとよく似ているような気がしますよね。

2016年2月1日月曜日

糀を育てながら思う事①


糀の面倒をみていると、赤ちゃんの面倒をみているかのような気持ちになります。
糀は主に温度で状態をみるのですが、この温度の上下で「ほっ」としたり、心配になったりします。上がり過ぎると品質が悪くなるし、下がり過ぎると発酵が進まないからです。
例えば、糀造りの工程に「種切り」という作業があります。
蒸した米を35度くらいまで冷まして種糀をまくという作業です。蒸し米の温度が高すぎると糀菌が死んでしまうし、逆に低くし過ぎると米の温度を上げるのが大変で発酵がうまく進みません。
温度計で時々確認しながら、蒸し米をひろげて温度を下げていきます。そして目標の温度近くになると、種糀をまいて蒸し米と混ぜ合わせ、袋に入れて室の中に入れます。袋の中には温度計が仕込んであって、しばらく様子を見ていると、温度がさらに下がるのですが、時に想定温度よりも下がることがあります。こうなると今度は慌てて室の温度を上げたり、袋の毛布を包み直したりして糀の温度を上げようとします。
さっきまでとは真逆のことで心配して、まさに右往左往している自分に気が付いて滑稽な気持ちになります。
恐らく経験を積んでいくと、こういうことは無くなっていくのでしょうが、この慌てぶりが初めての赤ちゃんの世話をしている時と似ているなぁ、と思うのです。
おっと、夜中の1時近くですが、今から糀の温度を見に行ってきます(笑)
これだから糀造りが面白いんですよね~♪